原発事故は想定内だった!『ザ・ホワイトハウス』最終シーズン

TURBO2035

2011年08月27日 00:31



大好きだったアメリカのTVドラマ『ザ・ホワイトハウス』が、
第7シーズンをもって終了しました。

NHKでは第5シーズンから放送しなくなったし、
僕のまわりで観続けてる人もほとんどいなかったので、
今回書くエピソードも話題にすることはありませんでした。

最終シーズンは、主役であるバートレット大統領の
任期満了に伴う政権の終焉と、
2人の候補(1人はオバマがモデル)の
し烈な次期大統領選挙が平行して描かれます。

この5月にDVDレンタルで、
その第12話「メルトダウンの危機」を観て、
僕はぶっ飛びました。

くれぐれも、このエピソードが、
アメリカでは、5年前の2006年1月に放送され、
日本ではCS放送で2009年10月に放送されたことを念頭において、
少し引用が長くなりますが読んで下さい。


カリフォルニアの原子力発電所が爆発の危機、
という一報がバートレット大統領のもとに入ります。

発電所は、サンアンドレア発電所。

原因は給水ポンプの故障。
原子炉は自動的に停止したが、
冷却水が炉心に注入されないことにより、
燃料棒がむき出しになり、
メルトダウンが起きる可能性が生じた、
というお話です。

以下は、このドラマの中で
バートレット大統領がとった行動です。

①報告を受け、
  15分で対応を考え声明を発表できるよう、指示を出す大統領。
  大統領 「これからの1時間半の我々の対応でパニックが起きるかどうか決まる。
        最初に不安に思ったら、それは消えない」

②全体を指揮する担当者を決めることを進言する首席補佐官、
  即座にそれは自分がやると決める大統領。

③21時2分に事故発生、21時19分に報告を受け、21時34分に会見を開く大統領。
  大統領 「何が起ころうと我々(連邦政府・州政府)が処理します」

④建物内の圧力が高まり爆発を懸念するスタッフたち。
  燃料棒が水素ガスを発生させている、という説明。

⑤情報の発表窓口を
  ホワイトハウスの報道官(広報部長)に集中させる対応。

⑥大統領は、並行して、
  カザフスタンでの中国とロシアの衝突危機にも対処している。

⑦避難が完了しないうちに、建物内の圧力が限界に近づき、
  やむを得ず、水蒸気放出を決断、指示する大統領。

⑧予想に反し安全基準以上の放射線量が計測され、
  スタッフはパニック発生を心配するが、大統領は即座に発表を指示。
  大統領 「市民に知らせないと」

⑨予備パイプが破損したため、手動でバルブを修理しなければならなくなり、
  やむを得ず安全基準の5倍の放射線の中への作業を指示する大統領。
  高濃度下での追加作業が発生し、許容時間以上の作業をさせるか否か。
  進言できず目を伏せる官僚たち、作業を指示する大統領。
  作業員は、放射線障害でひとりが死亡、ひとりが重症。

⑩さらに作業員を送り込まなければならない。
  決断の重さに苦悩する大統領、
  他に委ねることなく、自分で判断、指示を出す。
  この作業で最悪の事態≪メルトダウン≫は回避された。

⑪事故地域で会見を開く大統領。
  大統領 「解明には数年かかるかもしれませんが、
        わかり次第、包み隠さずお話します。」


というような内容です。


どうです? 驚いたでしょ。


東日本大震災とその後の原発事故が起こる5年も前に、
現実を予言するかのような、
このドラマの製作者たち(脚本家)の着眼点と、
具体的なストーリーの組み立て方の素晴らしさ。

事故が起こる過程とその対処方法のリアリティと、
それを支えるリサーチ能力の高さ。

そしてそれを1話45分の中で
一流のドラマに仕立て上げる確かな演出力。

これだから、アメリカの良質のTVドラマは
あなどれないのです。

確かに今度の大地震や大津波は≪想定外≫だったかも知れませんが、
原発事故自体は≪想定内≫であることを、
このドラマは確実に私たちに教えてくれていたのです。

これを観ると、
いかに菅首相が無能だったか、
いかに国難にあってリーダーシップが重要であるか、
よく分かり、そして菅政権の失敗の本質が見えてきます。


そして今日、その菅首相が正式に退陣表明したことを、
今テレビのニュースで伝えています。



「私自身はやるべきことはやった、このように感じております」
笑い顔で話してます。

こういう人が日本のトップだったのです。

『ザ・ホワイトハウス』の製作者たちやキャストたちは、
この菅首相の薄ら笑いを見て、どう思うでしょうか?

ぜひ聞いてみたいものです。



















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