2011年11月26日
下半期・映画タイトル考 その1

今年もあと1ヵ月あまりで終わろうとしてますが、
この下半期にいろいろと映画を観てきて感じるのは、
いい日本語タイトルを付ける能力が著しく低下してるのではないか、
ということです。
おそらく日本の配給会社が考えてるのでしょうが、
適当というか、素人というか、余りにも残念なタイトルもあって、
それによって損してる映画もかなりあります。
そこで、この下半期に観たいくつかの映画を、
その日本語タイトルを通じて寸評してみたいと思います。
『復讐捜査線』
なんだこのB級アクション刑事ドラマみたいなタイトルは。
主演があのメル・ギブソンだというのに・・・。
娘を殺された刑事が復讐の鬼となって犯人を追及していくうちに
巨悪を暴く結果になるというサスペンス。
残念ながらその巨悪に間抜けな部分があり、
メル・ギブソンもシワだらけになって歳とったなあ、という印象。
『ぼくのエリ 200歳の少女』
いい映画なのにタイトルでミスリードしていて、
観た後に真相を知ってがっかりのタイトル。
詳しくは8月14日のこのブログを参照して下さい。
『ツリー・オブ・ライフ』
これは原題通りのタイトルだが、全然ピンとこない。
ブラピ、ショーン・ペン主演で、カンヌ映画祭のパルムドール受賞作、
そして予告編の映像のすばらしさに惹かれて観たが、
うーーーーーん、内容は難解、退屈、宗教的、哲学的・・・。
観た後ネットで調べてみると、
「The Tree of Life(命の木)」は、旧約聖書の中の、
エデンの園の中央に植えられた2本の木の一つで、
アダムとイヴがその禁断の果実を食べて
エデンの園を追放されたのは有名な「知恵の木」です。
とありました。
キリスト教社会では誰もが知ってる有名な木なのでしょうか。
おそらく日本人の多くはタイトルも内容もピンとこない映画です。
『未来を生きる君たちへ』
こんな啓蒙的、教育的なタイトルで、デンマーク・スウェーデン合作映画。
普通なら観ません。
しかし、アカデミー賞とゴールデン・グローブ賞の
外国語映画賞のW受賞作品と聞けば観ないわけにはいきません。
アフリカの難民キャンプでの暴力、学校でのいじめ、家族間のいさかい、
一つの家族を通じてそれらを同列に描きながら、
復讐と赦しの狭間で揺れ動く人間の感情をうまく表現しています。
ラストに救いと希望があるのでこういう邦題を考えたのでしょうが、
少々重い内容からすると、
あまりうまいタイトルとは思えません。
原題はデンマーク語で「HAEVNEN(ヘフネン)」、
意味はずばり「復讐」です。
Posted by TURBO2035 at 12:30│Comments(0)
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